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技能実習生の失踪の実体、失踪の実例

技能実習生の失踪の実体、失踪の実例

技能実習生の雇用のポイント

 

技能実習生が失踪してしまう理由は? どのように対応すべきなのか?

今回は、技能実習生を雇用する中で懸念される失踪について説明をしていきたいと思います。実際に失踪をしてしまった場合に、どのような対応をする必要があるのかなども説明していきます。
主にベトナム人技能実習生で実際に起こったケースなども含めて紹介していきます。

技能実習生の失踪の実態は?

出入国在留管理庁の発表によると、2022年末時点における在留外国人数は307万5,213人となり、初めて300万人を超え過去最高となりました。その中でも、外国人技能実習生数は前年比4万8,817人増加し、32万4,940人に達し、2023年6月には、36万人に達しています。コロナ禍こそやや減少しましたが、それも一時的で業界に問わず人手不足になる傾向が需要を後押ししています。

法務省のデータによると、2023年6月末時点で、日本で受け入れられている技能実習生の中で、最も多い国籍はベトナムで、18万5,563人と全体の51.8%を占めています。2位はインドネシアの5万8,478人(16.3%)、3位はフィリピンの3万1,925人(8.9%)、4位は中国の2万9,142人(8.1%)となっています。これらの国々も、日本にとって重要な人材供給国であり、今後ますます受け入れ人数が増加していくことが予想されます。

年々需要が高くなる外国人技能実習生ですが、失踪をしてしまうケースもあります。人数の増加に伴い増減はありますが、その数は徐々に増えています。平成25年には3566人でしたが、令和4年は9,006人でした。

参照元
技能実習生の失踪者数の推移(平成25年~令和4年)
出入国在留管理庁 外国人技能実習制度について

失踪画像

なぜ失踪をしてしまうのか?

それでは、失踪をしてしまうのは、どのようなことがきっかけなのでしょうか?

その1:雇用条件の理解不足
雇用条件を十分に理解せずに日本に渡航し、実際に働き始めてから、労働時間や賃金、労働環境などが思っていたのと違っていたことに気づき失踪してしまうケースがあります。これは誤解が生じて失踪に繋がってしまうケースです。

その2:悪徳ブローカーに勧誘される
悪徳ブローカーはネットワークがあると言われています。
巧妙な手口で例えばSNSで好条件を表記して技能実習生を甘い誘惑で誘ったり、直接勧誘をしたりなど接触してきます。好条件を謳って今よりも働きやすい環境をイメージさせ新たな職場で労働を斡旋するケースです。またベトナムにいる悪徳ブローカーに高額な手数料を払って日本に渡航し、その借金を返済するために、失踪して違法な仕事をするケースもあります。

失踪実例

 

失踪して、トラブルがあった実際の事例

事例①
お金を払い契約をして車を買ったのに、警察に盗難届出をだされていた。
運転したときに警察に捕まる。刑務所に4か月もいるが、誰にも会えない、弁護士もいない、家族と電話できない、もちろんお金もない。
不法滞在、車の盗難と、ベトナムに帰ることができるまでかなりの時間を要してしまう。

事例②
SNS経由で紹介料6万円を払い、都内から群馬へ行ったのにSNSをブロックされて音信不通になってしまった。その後、都内に戻れなくなり住む場所もなく、資金が底をついてしまった。

事例③
在留カードが切れそうだからと、インターネットで偽物を作りたいと言ったら、メッセージがいっぱい届いた。
安い金額の所で振り込みをしたら振込み後にブロックされて振込金が無駄になってしまった。

この他にも様々な形で詐欺にあってしまうケースがあります。
詐欺グループが存在しており、詐欺グループの甘い条件に引っかかってしまい、お金をだまし取られたりして失踪後に大変な思いをしてしまうケースがあります。

失踪実例

 

失踪をしてしまったらどのような対応が必要か?

失踪は重大な問題であり、速やかに対応する必要があります。

所在の把握
まずは同僚の技能実習生からの情報収集や、本人のSNSを確認してみましょう。
情報があるとサポートも早く出来る可能性が高まります。

外国人技能実習生の監理団体へ連絡
失踪が発生したらまずは、速やかに監理団体へ連絡をしましょう。
受け入れ企業と監理団体が協力して、行方を捜します。

帰国措置または復帰・転籍支援
所在が判明した場合は、監理団体と連携し、本人の希望・状況に応じて、帰国までの必要な措置または、復職や転籍等の支援を実施してください。

失踪理由の把握と再発防止策の検討
失踪の理由の把握と再発防止に努める必要があります。
本人・同僚からの聴取をして状況を把握しましょう。賃金未払い等の実習実施者側の不適切な扱いが原因として考えられる場合もあります。
また、そのような理由でなくても入国前の丁寧な説明やコミュニケーション等の配慮が行われているか、監理団体と実習実施者の間で自己点検を行っていただき、再発防止に努めてくことが重要です。
 

日本アジア青年交流協会では、当会だけでなく、ベトナムの日本語学校と連携して、よりきめ細やかに失踪対策を行っております。
https://jay.tokyo/40th/delicate

 

最後に日本アジア青年交流協会で実際に発生した失踪におけるインタビュー内容を紹介します。

以下は、実習先の企業から失踪し、再び戻ってきたAさんに、失踪についてインタビューしたものです。(Aさんは通訳を通して回答しています)
 

~~~ インタビュー ~~~

失踪者インタビュー

===== 失踪先の探し方 =====

■監理団体 担当者
 失踪先をどうやって探しましたか?
□Aさん
 Facebookで探しました。
■監理団体 担当者
 失踪先は会社ですか? それとも個人から紹介されるような仕事でしたか?
□Aさん
 個人です。

 

===== 失踪の費用 =====

■監理団体 担当者
 失踪先の現場に行くまでの費用は、総額いくらぐらいかかりましたか?
□Aさん
 交通費と紹介料の合計で、だいたい10万ぐらいかかりました。
■監理団体 担当者
 紹介料はいくらぐらいでしたか?
□Aさん
 紹介料は4万です。
■監理団体 担当者
 残りが交通費ですか?
□Aさん
 交通費と食費などです。

■監理団体 担当者
 現場はずっと同じ現場ですか?
 それとも何日ケ毎に現場が変わるのですか?
□Aさん
 3日~5日ぐらいで現場が変わります。
■監理団体 担当者
 現場が変わった時に移動する交通費は、自分で支払うのですか?
□Aさん
 交通費は先に全部自分で支払って、給料もらう時に交通手当てがつく状況です。
■監理団体 担当者
 給料の支払い日がまだなので、給料を全くもらってない状態だけれども(支払い前だった)、毎日宿泊費と交通費は払っていた、ということですか?
□Aさん
 そうです。まだ給料もらってない。
 かかった交通費・食事・住むところは先に全部支払いました。

 

===== 仕事の条件 =====

■監理団体 担当者
 個人の紹介者が言っていた条件、例えば日給いくらなど、どういう条件を聞いてましたか?
□Aさん
 仕事はほぼ足場・とびの仕事、物を運ぶとか、現場の掃除、足場を組み立てるとかの作業です。
 給料は日給で1万円でした。
■監理団体 担当者
 給料は日払いですか? それとも毎月払う、月払いですか?
□Aさん
 給料は月払いで、毎月の15日に支払うと聞きました。
■監理団体 担当者
 15日に手渡しで給料をもらうという話しでしたか?
□Aさん
 はい、手渡しで渡します。

 

===== 失踪中の生活 =====

■監理団体 担当者
 泊まっていたところは、どんなところでしたか?
□Aさん
 監督が指定するところは、アパートかホテルです。
■監理団体 担当者
 宿泊費はいくらですか?
□Aさん
 1泊、1人につき1,000円から2,000円ぐらいです。
■監理団体 担当者
 毎日、監督者に現金で払っていたのですか?
□Aさん
 監督にみんなでまとめて渡していました。
■監理団体 担当者
 ご飯は自炊できるのですか?
 それともお弁当など買ってきたりしてましたか?
□Aさん
 自分は全部スーパーでお弁当を買いました。

 

===== 戻った理由 =====

■監理団体 担当者
 失踪した先の現場を「逃げよう」「もうそこで仕事するのは辞めよう」「元(の会社)に戻ろう」と思った理由は何ですか?
□Aさん
 理由は、自分が選んだ仕事がとても大変でした。
 あとは、その仕事は騙される、給料も支払われないと思った。
 (元の)会社に戻るほうが安定的で、また安全なところに戻りたいと思った。
■監理団体 担当者
 実際に、仕事は肉体的に厳しかったですか?
□Aさん
 仕事とても大変でした。

 

===== 今思うこと、メッセージ =====

■監理団体 担当者
 実際に失踪してみての感想を教えてください。
□Aさん
 失踪したらとても大変になります。また騙されることが多いです。
 安全な仕事もないし、失踪すると危ないと感じてます。

■監理団体 担当者
 最後に、今日本にいるベトナム人の仲間、これから日本に来るベトナム人の仲間に、失踪についてメッセージをお願いします。
□Aさん
 日本にいる皆さん、これから日本に入る皆さん。
 自分の気持ちは、日本に行ったら大変なことはもちろんありますけど、何かあったら我慢して、会社で何かあっても自分で解決できない場合は、監理団体とか会社の人とかに相談してください。
 (日本語を)練習して自分で調べて日本にいたほうが良いと思います。
 失踪は自分の経験でも本当に大変です。
 騙されることも多いし、皆さんは日本にいったらちゃんと3年間がんばって。チャンスあります。
 失踪は辞めてください、それは考えてください。
■監理団体 担当者
 ありがとうございます。これからも頑張ってください。
□Aさん
 はい。ありがとうございました。

~~~ インタビューここまで ~~~

 

今回は、失踪について説明しました。
このように外国人技能実習生には、異国の地ゆえに騙されて失踪をして、その後に大変な思いをしてしまうケースがあります。そのようなことを未然に防いだり、継続してサポートするのが技能実習生の監理団体です。監理団体は、技能実習生を受入れ、その活動及び受け入れ企業へのサポート等を行う非営利団体です。具体的には企業の依頼を受け、技能実習生の募集、受入れまでの手続きや現地での面接、受け入れ後は各企業が適正な技能実習を行っているかどうか、監査と指導を行っていきます。

外国人技能実習生の受入れをお考えの場合は、ぜひ日本アジア青年交流協会までご相談ください。

日本アジア青年交流協会への
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